すべてが約束されたエリートとして生まれた紫苑。 12歳の誕生日、彼は偶然、部屋に転がり込んできた少年を助ける。 翌日、ネズミと名乗ったその少年は、まるで幻のように姿を消した。 だが、その出会いは紫苑の心にずっと残り続けていた……。 そして4年後。紫苑の身の回りで次々と起こる奇怪な事件。 宿主の身体を一気に老化させる謎の寄生バチ、二度と生きては外に出られないと言われる矯正施設の存在、そして次第に明らかになる“聖都市”の本当の姿……。 友情というにはあまりに激しく、宿命というにはあまりに切ないふたりの物語が、静かに幕を開ける。 少年は、窓を開け放つ。 おのれの内なる“呼び声”が導くままに。 その先に何が待っているかも知らないままに……。